2018年7月3日火曜日

馴染みにあった街に地域活性化を感じてしまう

先日、数年ぶりに野毛(横浜市中区)に立ち寄り、散歩と食事をした。

野毛は私が就職する前の約2.5年、アルバイトで頻繁に訪れていたことと、就職後に3年間、近隣に住んでいたことがあったため、とても馴染み深い地区だ。私がいた頃、野毛は「場外馬券場の街」であった。今でもWINSはあるが、当時はむしろ場外馬券場頼みの街だったという印象しかない。飲食店は多いが基本的に馬券購入者を狙ったお店で、殺伐とした雰囲気があった。「洋食キムラ」のような店もあるが例外的だった。JR桜木町駅を反対側に超えれば、そこはみなとみらい21。まさに陰と陽の棲み分けがなされていた。場外馬券場以外では野毛大道芸という名物イベントがあるが、それ以外では大人の男のための街であることは疑いようのないことだったろう。

私が野毛との縁が薄れてきた20年ほど前から、野毛をより良くしようという取り組みは行われていたように思う。「野毛ちかみち」が出来たのはその頃だ。野毛ちかみちが出来る前は、桜木町駅へ向かう長い信号を待たされ、クルマは渋滞が酷かった。野毛ちかみちは「近道」ではないけど、大きな成果を出したインフラだろう。私が野毛に来なくなった後も数年に一度は顔を出したが、来る度に印象が変わっていった。簡単に言えば、来る度にきれいな街になっていったように思う。チェーン店や洒落た店構えの飲食店が増え、通りのレンガも新しくなっていった。野毛が変わっていることは一目瞭然であった。

しかし、今回の訪問ではビックリさせられた。街の雰囲気がビックリするほど変わっていたのだ。訪問したのは平日の19:00頃だったが、やけに増えたオープンテラス?角打ち?で酒を飲む若者グループでいっぱいなのだ。ただ、客が多い店は若者向けの面構えの店で満席に近いくらいであるが、ヒマな店は閑古鳥。そもそも若者グループがたくさんいるシーンは少なかったはずだし、しかも外で卓を囲みますか。商店街を案内する人もいる。もう「ここはどこ?」といった気分だ。殺伐とした雰囲気も感じられなくはない。でもそれは以前の野毛を知っているからこそ昔の面影を感じるのであって、以前の野毛知らない人からすれば若者が闊歩する賑やかな街だろう。この状況を目の当たりにした私の頭によぎった言葉が「地域活性化」であった。

先に述べたように、野毛は場外馬券場の街だった。土日は人でごった返すが平日は大した賑わいはなく、土日もガラの悪さがあった。雰囲気の良い場所に若者が集まるならば、それは野毛の人たちが長年かけて達成した念願だろう。そこで暮らす人たちにとっては徐々に変わる街並みを知らず知らずのうちに理解し今に至ったのだろうから、大きな変化が起きたようには思わないだろう。しかし、時々訪問する者にとっては大きな変化どころか「野毛は変わってしまった」のである。20年前から古びていた街並みは薄まり、流行りを取り入れたつまらない街だ。そう、これが地域活性化なのだ。そこに住む人たちにとっては賑やかになってよろしいのだろうが、私にとってはつまらないこと。地域活性化とは、そういうものなのだろう。

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